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食の輸入依存が深刻化して、日本の食が変わってしまう?

新型コロナウィルス感染拡大や気候変動の影響を受けた農産物の不作などを背景に、食料品の値上げが続いています。
飲食店で働く人のなかには、食材の仕入れが高くなったと感じている人もいるのではないでしょうか?

そこで今回、食料品の値上げが続いている理由を紹介しつつ、日本の食料事情について解説します。

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なぜ食料品の値上げが続いているのか?

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最近いろいろなお店で値段が上がっていると感じたことはないでしょうか。

ファーストフード店などでもいつのまにか数十円程度の値上げをしていますが、その理由は食の輸入依存と密接な関係があります。


1、新型コロナウィルス感染拡大による影響

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新型コロナウィルスの感染拡大は、私たちの暮らしに大きな変化をもたらしていますよね。
食生活もそのひとつで、いわゆる「おうち時間」が増えたことで客数が伸びないと嘆いている飲食店勤務の方は多いのではないでしょうか。

コロナの影響で外食需要が減っている一方で増えたのが、即席麺や冷凍食品、調味料などの需要です。
2020年の4~9月期にスポットを当てて見ると、過去最高益を記録している企業が多く、需要増を背景にした食料品の値上げが続いています。

また、コロナの影響によって航空会社の本数が減ったことも食料品の値上げに影響しています。
航空貨物の約6割は旅客機で運ばれてくるのですが、旅客機の国際便が減っている影響で航空貨物の輸送費が高騰した結果、食料品の値上げにつながっているのです。


2、食料品の不作

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食料品が値上がりしているもうひとつの原因が食料品の不作です。
日本はもちろん、世界を見ても異常気象による干ばつや洪水は毎年のようにどこかの地域で起こっていますし、イナゴの大量発生による農産物への被害も度々ニュースで見聞きしますよね。

実際にどれだけ食料品が不作の状況になっているのか、農林水産省が公表している「農林水産統計」の2020年度版を基に見ていきます。

たとえば、じゃがいもの銘柄である「ばれいしょ」は、収穫量と出荷量の両方が前年に比べて8%も落ちています。
同様に、かぶ・ごぼう・セロリ・ねぎなども4~7%ほど減っていて、総平均で3%の落ち込みという結果でした。

収穫量か少なくなれば、需要と供給のバランスから値段は高くなってしまいます。
飲食店の仕入れにも大きな影響を及ぼしているのではないでしょうか。


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また、食料品の値上げは日本国内に限ったことではなく、世界的に起きていること。
日本だけの一時的な値上がりであれば、しばらくすると元の価格に戻りやすいので大きな問題になりませんが、世界規模となると話は別です。

国連食糧農業機関(FAO)の発表によると、2021年6月における世界食料価格指数は、1年間におよぶ連続上昇が一服して平均124.6ポイントとなっていて、前年同期の水準を31%も上回っています。
とくに、砂糖と植物油価格の大幅上昇が全体の指数を底上げした要因となっています。
つまり、世界的に食料価格は値上がりの方向に進んでいるということですね。

天候不順による食料品の不作、そして世界的な人口増などの問題は、食料価格が異常に高くなってしまう「食料インフレ」につながると懸念されていましたが、いよいよ現実のものとなってきているのは間違いなさそうです。

たとえば、とうもろこしはアメリカや南米の気温上昇や乾燥などが原因で生産数が減ってしまったことや、中国の輸入量の急増によって7年半ぶりの高値をつけています。


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中国がとうもろこしを大量爆買いしている背景にあるのは、干ばつやバッタの襲来などの影響でとうもろこしの収穫量が大幅に減少したこと。

そして、2018年から2019年にアフリカ豚熱という病気が中国で流行り、2018年には中国全土で約7億頭だった豚の出荷頭数は2019年に20%も落ちたことです。
これらによる食糧難の危機を回避する目的があったとされています。

中国にとってとうもろこしは、国民食である豚肉を飼育するための重要な飼料です。
自国での収穫量が少なくなれば、輸入に頼るのは当然でしょう。

しかも、約14億人もいる中国人のお腹を満たすにはとんでもない数の豚肉が必要になるはず。
「また爆買いか」と中国を非難する人も多いですが、自国民の生活を支えるためにとうもろこしを爆買いする姿勢は国として当然の姿でしょう。

食糧危機のリスクは中国に限った話ではなく、世界中のどこでも起こりえることです。
どこかの国や地域で甚大な災害が起これば、食料品が一気に高騰するかもしれません。

もっとも、食料品の価格が高くなったというのは日々の生活では意外と感じにくいもの。
一般的に、食料品は1商品あたり数十円程度だけしか値上がりしないので、普段の買い物であまり実感は湧かない人は多いでしょう。

また、価格は変えずに商品の内容量だけを減らすメーカーもあるので、一般家庭レベルでは気づかない人もいるかもしれません。


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とはいえ、食料品価格の高騰は、飲食業で働くみなさんにとっては非常に大きな問題ですよね。

たとえば、2021年10月から輸入小麦粉の価格が上がることが決まっていますが、ただでさえコロナの影響で客数が減っている状況なのに、原材料の仕入れ価格も上がってしまうとなれば一大事。
特に、うどん、お好み焼き、パンなどの小麦粉製品を主力商品として取り扱っているお店にとっては死活問題になるでしょう。

世界規模の食糧危機が訪れると、食料品を輸入に頼っている日本としては一気に立ち行かなくなりそうですね。
本当であれば日本国内で食糧を自給できればよいのですが、それもまた簡単なことではありません。

では、日本では食料をどのくらい輸入しているのでしょうか。


日本における食料の輸入率

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日本の農水産物の輸入額は、財務省が公表している「農林水産物輸出入概況」で確認できます。

資料によると、2020年の農水産物輸入は約7兆6,765億円ある一方で、輸出は約8,828億円だけしかありません。
2001年以降の状況を見ると、輸出額は増加、輸入額は頭打ちといった傾向のように思えますが、輸入額が輸出額の9倍も多い現状です。
つまり、私たちの食生活は外国に依存しまくっているということですね。

輸出の相手国・地域で多いのが、上から順番に香港・中国・アメリカとなっていて、上位3カ国で50%を占めています。

一方、輸入は上から順番にアメリカ・中国・カナダの順番です。
農産物についてはアメリカからの輸入が約1兆3,628億円と突出していて、2番目に多い中国は約6,582億円ですから2倍以上の開きがあります。
水産物を見ると、上から順番に中国・チリ・アメリカの順番で、中国からの輸入が約2,632億円、チリは約1,493億円。

中国の漁業といえば、太平洋で乱獲しているなどの報道を見ることがありますが、そうやって獲った魚を日本に輸出しているというのは何ともやりきれない気持ちになってしまいますね。
2位に入ったのがチリというのは意外に感じられるかもしれませんが、チリといえばサーモンが有名で、私たちが食べているサーモンの多くはチリの養殖場で育てられたものです。


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いずれにしても、突出しているのがアメリカと中国との取引ですが、農林水産物の約400品目のうち、中国からの輸入がシェアトップとなっているのが100品目ほどあります。
日本と中国は何かと対立していますし、中国製の農水産物について安全面の問題が指摘されているにもかかわらず、結果として中国への依存度はものすごく高くなっているのはいかがなものかと思えます。

一方で、中国国内での食の変化に伴い、いつまでも中国から安い値段で食材を輸入できる保証はありません。

なぜなら、中国は食生活の水準が上がっていて、自国で食料を賄うことができずに食料輸入大国になりつつあるためです。
このような状況下でいつまでも中国産食材に頼っているのはリスクが高すぎるでしょう。

このようなことから日本の食料自給率を上げる必要があるのですが、なかなか簡単ではないようです。


日本の食料自給率

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日本の食料自給率は、カロリーベースで見ると2019年時点で過去最低となる38%となっています。

意外に高いと感じる人もいるかもしれませんが、1965年の食料自給率は73%だったことから、およそ50年間で半分程度に落ち込んでいるということになります。
食料品の6割以上は輸入に頼っている日本の実情は非常に危険な状況で、たとえば輸入している相手国で何か問題が起これば日本に食料が入ってこなくなるかもしれません。
生産地やその周辺で天候、労働、環境、流通に何か大きな変化があれば、野菜や肉類、魚類、穀物などを輸出しなくなることも考えられます。

だからこそ、国内の食料自給率を上げることは最重要課題と言えるのではないでしょうか。
将来的に世界的な食料争奪戦が激しくなるなかで、食料が安定して調達できるという保証はどこにもありません。

このように言うと考えすぎと思う人もいるかもしれませんが、人口が減少傾向にある日本に対し、世界的には人口が増え続けています。

そのうえ、水産資源が不安定な状況が続いていますし、世界的に大規模な干ばつや洪水などの自然災害によって作物の収穫が安定しなくなってきています。
だからこそ、特定の国への依存が高すぎるのは大きな問題なのです。


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ちなみに、日本の食料自給率を下げている事例にサバ缶の問題があります。

以前は、日本近海で取れた小さなサバはアフリカ向けに輸出されるケースが多かったのですが、現在はベトナムとタイが上位になっています。
これは「ベトナムとタイで日本のサバ缶が大人気」というものではありません。

実は、日本から輸出した鯖をベトナムやタイの工場で缶詰に加工し、それを日本に再び輸入するケースが増えているというのが本当のところ。
日本国内で加工するよりも東南アジアで加工したほうが安くできるという理由のようですが、こういったケースで食料自給率を下げている食料品は意外と多いかもしれません。

そこで注目されているのが、次に紹介する「国消国産」という取り組みです。


食料自給率を上げる「国消国産」「地産地消」

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農林水産省では、2030年度に食料自給率をカロリーベースで45%まで上げようとしています。

この目標を達成するために取り組んでいるのが「国消国産」で、国民が必要とするものはその国で生産するという考え方です。
日本国内だけで考えると、地域で必要とするものはその地域で生産する「地産地消」ですね。

新型コロナウィルスの感染拡大が始まった頃は、食料の輸出を制限していた国があったように、世界を巻き込む大問題が起きた場合、今まで当たり前に食べていた食品を食べられなくなるおそれがあります。

そのため、日本がこれから起こりうる食糧危機に対応するには、国内消費に必要な量は国内で生産する以外に選択肢はありません。

もちろん、すべての食料を国内だけで生産するのは不可能です。
とはいえ、最初から諦めるのではなく、できるだけ国産で供給する方向性に進んで行かなければ、食の輸入依存は解決できないでしょう。


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日本国内の食料自給率を上げるには困難な問題もたくさんあります。

たとえば、少子高齢化による担い手不足。
農家を生業として働く人が増えているという話を耳にすることもありますが、実際は右肩下がりの状況が続いていますし、機械化による収益性アップも一朝一夕にできるはずがありません。

さらに、地産地消という考え方もあまり現実的な考え方ではありません。
「地元で生産されたものを地元で消費する」のが地産地消の基本的な考え方ですが、これを愚直に進めてしまったら、地元で生産できないものは食べられなくなってしまうでしょう。
それでも地産地消が大事だからと強引に進めてしまうと、その土地に合わない作物を生産しなければならず、収穫量が減ったりコストが高くなったりするデメリットもあります。


import_13.jpg 出典:乃木坂46が “国消国産”を解説!~わたしたちの食べるもの、わたしたちの国でつくっているんですか?~

ちなみに、国消国産の活動には、アイドルグループの乃木坂46も参画してさまざまな活動をしています。
アイドルグループの起用ということですから、若年層をターゲットとした活動が中心になると思いますが、どれだけ若年層に響くかは未知数です。

これらの点を踏まえると、日本国内の食料自給率を上げるための取り組みは進めているものの、食料の輸入依存度を下げるのは現実的ではないと言えるでしょう。

食料自給率の目標となる45%は、2019年度の37%から8%アップなので数字だけを見ると簡単に見えますが、実際は簡単ではなさそうです。
さらに、世界的な食糧不足が問題となって、ますます食料品が値上げするリスクがあります。

飲食店でも、原材料費が今以上に高くなってしまうのは避けられないと覚悟して対策を練っておいたほうが良さそうです。


まとめ

いかがでしたか?

今回は視野を広くして、「食」の未来についてお話ししてきました。

食の未来を考えるということは、飲食店の未来を考えることにも繋がります。
そう、他人事ではないはずです。

もしかしたら、作りたい料理が、お客様に提供したい料理が出せなくなってしまうかもしれないのです。
だからこそ、飲食店で働く方々も未来を繋ぐために、少しでも何か考えていくことが大切なのではないでしょうか。

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小学6年生の時に某テレビ番組の取材で有名ホテル総料理長に出会い食の世界に魅了されて、中学2年生の時に海外派遣団に参加。シンガポール及びマレーシアへ訪れた際に海外の食を知る。高校1年生から単身カナダへ渡り世界の食に触れ、帰国後は飲食人としての人生をスタート。複数の飲食店でのアルバイトを経験し、新卒で居酒屋リーディングカンパニーの人事労務に勤める。上場及び未上場の飲食企業複数社にて、人事、新卒及び中途採用、教育、経営企画、株式上場などの責任者(部長・局長)を歴任。面接人数は8,000名以上、各専門学校にて就職ガイダンスの外部講師として講演活動も積極的に行っている。

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